1.基本ルール
(1)減価償却に回すもの(取得原価)の内容
会社で車を買った時に減価償却に回すもの(取得原価)については、法人税法施行令第54条第1項で、次の2つの合計額と定められています。
- 車の購入代金(購入のために要した費用を含む)
- 車を仕事で使うために直接必要な費用
(2)減価償却に回さなくて良いものの内容
減価償却に回さないで良いものの例として、法人税法基本通達7-3-3の2で次のものをあげています。
- 自動車取得税
- 登録免許税その他登記又は当期のために要する費用
2.車の納品書の項目を種類分け
ステップ1:注文書や納品書を用意
上記の2つのルールを使って、車の注文書や納品書など、車の代金の明細がわかる書類の項目を、減価償却に回すものと回さなくて良いものに種類分けしていきます。
ステップ2:減価償却に回さなくて良いことが明確なものを区別する
① 自動車取得税
法人税基本通達というルールで、自動車取得税は、減価償却に回さなくて良いことになっていますので、これは取得原価から除きます。
自動車取得税の金額は、注文書や納品書の「税金・保険料」の項目の中に「自動車取得税」として記載されています。
② 検査登録・車庫証明関連費用
車の場合には、登記制度はありませんが、同じような性格のものとして、検査登録と車庫証明の制度があります。
検査登録制度というのは、車の所有権を公証することと、自動車の保有実態を行政が把握することという2つの目的で設けられた制度です。
また、車庫証明制度は、道路を駐車場代わりにしないように、自動車の保管場所を確保しなければ、自動車を所有できないようにした制度です。
これらに関する費用としては、注文書や納品書の「預り法定費用」の中に「検査登録」「車庫証明」として記載されている法定費用部分と、「販売諸費用」の中の「書類申請」欄に「検査登録手続代行」「車庫証明手続代行」として記載されているディーラーの手数料部分があります。
これらの項目については、取得原価から除きます。
ステップ3:減価償却に回すことが明確でなものを区別する
法人税法施行令というルールで、車の購入代金(購入のために要した費用を含む)と、車を仕事で使うために直接必要な費用は、取得原価にすると決まっていますので、これに当てはまるものを区別します。
まず、注文書や納品書の「車両代」「現金価格」等と記載されている一番上の部分は、車の購入代金そのものですので、当然減価償却に回ります。
その下に行くと、「販売諸費用」「諸費用」等と記載されている部分になりますが、その中で、明確に取得原価になるのは、購入のために要した費用である「納車費用」「陸送費用」で、こちらは減価償却に回します。
ステップ4:減価償却に回すかどうか明確でないものを区別する
① 自動車税と自動車賠償責任保険
最後に、減価償却に回すもの(取得原価)かどうか明確でないものを区別します。
まず、金額が大きいものとして、「自動車重量税」と「自動車賠償責任保険(自賠責保険料)」があります。
このうち「自動車重量税」については、車の車検有効期間に応じて支払うもので、購入時だけでなく、車検時にも支払いが必要になります。
同様に、「自動車賠償責任保険」も、車検有効期間を必ずカバーする形で支払うものですので、購入時以降も車検前に支払いが必要になります。
このように、購入時以降も継続的に支払いが必要な費用については、減価償却になじまないため、取得原価からは除かれます。
② リサイクル料金
最後に、リサイクル料金というものがあります。
結論から言うと、リサイクル料金のうち、「リサイクル預託金」部分は、減価償却に回すのでなく、預かり金として、経費にもせずに資産として経理処理します。
そして、リサイクル料金のうち、「リサイクル預託金」のほかに「資金管理料金」というものがありますが、こちらについては、減価償却に回さずに、納車日の経費にします。
ちなみに、「リサイクル預託金」は、シュレダーダスト料金・エアバック類料金・フロン類料金・情報管理料金から構成されています。
このリサイクル料金は、使用済み自動車のリサイクルの適正化のために設けられた制度です。
3.まとめ
上記のステップ1~4の順番で、注文書・納品書の金額を区別して、取得原価にする金額を集計したものが、減価償却に回る金額となります。
実際の注文書・納品書を見て、確認してみましょう。
コメント