会社で新車の軽自動車を買った場合に、減価償却の金額をどのように計算したらよいかは、たまにしかないことなので、ベテランの経理担当者でも難しい部分があります。
また、計算の方法によって、購入した年度の減価償却費の金額は変わってきてしまいます(使用期間全体の経費は変わりません)ので、上手に節税できる計算方法について、ご説明したいと思います。
減価償却費計算ステップ
減価償却費の計算は、次の4つのステップで行います。このステップを順番に行っていけば、間違いなく計算ができますので、流れを抑えておきましょう。
- 買った金額を計算する
- 減価償却にまわす金額(取得価額)を計算する
- 耐用年数と償却率を調べる
- 取得価額に償却率をかける
ステップ1 買った金額を計算する
軽自動車を新車で買った場合には、ディーラーに支払った金額がそのまま減価償却に回す金額(取得価額)になるわけではありません。
支払った金額は、「新車の代金ー頭金ー下取金額」の場合があります。「新車の代金」の部分が買った金額になりますので、納品書の内訳から「支払った金額+頭金+下取金額」を計算しましょう。
ローン利用の場合には、「ローン金額+頭金+下取金額」を計算します。
ステップ2 減価償却に回す金額(取得価額)を計算する
ステップ1で計算した「買った金額」の中には、減価償却にまわさないで、そのまま経費にできるものや、減価償却してはいけないものがあります。
そこで、減価償却に回さないものを納品書から拾い出します。
軽自動車の新車の場合には、「自動車税」「自動車取得税」「自動車重量税」「自賠責保険料」「リサイクル預託金」「車庫証明費用」「検査登録費用」「検査登録手続代行費用」「車庫証明手続代行費用」は、減価償却に回さないことが出来ます。
減価償却に回す金額(取得価額)は、「買った金額ー上記の諸費用」で計算します。
ステップ3 耐用年数と償却率を調べる
耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数に関する省令 別表第一」で調べることが出来ます。
新車の軽自動車は、上記の別表第一で調べると、(種類)車両及び運搬具→(構造または用途)前掲のもの以外のもの→(細目)自動車、小型車(総排気量が0.66リットル以下のものをいう。)に該当するため、耐用年数は4年になります。
会社の場合は、特別な届け出を出していない限り、定率法で減価償却費を計算します。
耐用年数4年の場合の定率法の償却率は、 「減価償却資産の耐用年数に関する省令 別表第十」で調べることが出来ます。
別表第十で調べると、耐用年数4年の場合の定率法の償却率は、「0.500」であることがわかります。これは、定額法の場合の償却率(1/4年=0.25)の2倍で計算されており、200%定率法といいます。
ステップ4 取得価額に償却率をかける
取得価額と償却率がわかったら、あとは、掛け算をするだけです。
取得価額×償却率=減価償却費
それでは、数値例で実際に計算してみましょう。
数値例
- 頭金30万円を1か月前に支払い
- 下取価格は50万円
- 残金についてローンを220万円組んで新車の軽自動車を購入
- 自動車税他の減価償却に回さない経費は合計10万円
上記の場合の減価償却費は、次のように計算されます。
(30万円+50万円+220万円ー10万円)×0.500=145万円
このように、新車の軽自動車の減価償却費を計算するためには、車の代金や支払い方法の詳細が書いてある「納品書」が必要になりますので、大切に保管しておきましょう。
また、個人経営の販売店などでは、詳細な納品書を、言わないとくれない場合もありますので、ひと声かけて、もらっておくようにしましょう。
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