期待値という言葉をご存知でしょうか。
期待値とは、A1,A2,…,Anの起こる確率が、p1,p2,…,pnであり、それらが起こった場合に、x1,x2,…,xnの値をとるとき、x1p1+x2p2+…+xnpnの値のことを言います。
例えば、くじ引きで、1本のくじに期待しうる賞金の平均化した値とデジタル大辞林にありました。
かなり理解するのが難しいです。
では具体的にどういったものなのか例題で考えてみましょう。
期待値計算の設例1
- 参加料が200円のゲーム
- くじが10個あって10個のうち2個は160円がもらえる。
- 10個のうち6個は190円がもらえる
- 10個のうち2個は280円がもらえるとします。
このゲームにあなたは参加しますか。
期待値的には参加することが正しい答えになります。
なぜならこのゲームでは期待値がは次の通り、 1回あたり200円以上となるからです。
- 160×2/10=32
- 190×6/10=114
- 280×2/10=56
- 32+114+56=202
では次の例題ではどうでしょうか。
期待値計算の設問2
- 1回の参加料は300円です
- 10個のくじのなかから一つをひいて青がでたら100円、緑が出たら300円、赤が出たら500円がもらえます。
- なお、10個のうち青は3個、緑が5個、赤が2個入っています。
- 一度引いたらくじはもとに戻します。
設例1では8/10で参加料を下回ってしまうので参加しないという選択をしたひとが多いと思います。
一方で、この設例2は、7/10で元がとれるので、参加するひとがおおいかもしれません。
しかし、期待値的にはこの設例2には、参加しないほうが正解となります。
同じように期待値を計算してみましょう
- 100×3/10=30
- 300×5/10=150
- 500×2/10=100
- 30+150+100=280
この問題では半分の確率で参加料が戻ってくるのでなんとも良心的なような気がします。
最初の問題では8/10で参加料より返ってくる金額が少ないですが2/10を引けばそれ以上に戻ってきます。
しかし設問2では参加料が半分の確率で戻ってきますが100円となる確率が3/10もありその期待値では500円となる確率をカバーできません。
チンチロリンハイボール
もちろんこういったゲームを行うことは賭博になり法律により処罰される可能性があるのでそのままの形で目にすることはありません。
しかしこういったものはすでに実社会の中にとけこんでいます。
「チンチロリン・ハイボール」に見る我が国におけるギャンブル教育の必要性
より引用
- 例えば1杯のハイボールが400円とします。
- さいころの目がぞろ目となる確率は6/36
- さいころの目が偶数(ぞろ目以外)となる確率は12/36
- さいころの目が奇数となる確率18/36(上記以外)
これらから計算すると
- 0×6/36=0
- 200×12/36=66.66
- 800×18/36=400
- 0+66.66+400=466.66
仮に、このハイボールの値段が350円、500円であっても期待値はもとの価格を超えます。
- 350円の場合
- 0×6/36=0
- 175×12/36=58.33
- 700×18/36=350
- 0+58.33+350=408.33
- 500円の場合
- 0×6/36=0
- 250×12/36=83.33
- 1000×18/36=500
- 0+83.33+500=583.33
よってこのゲームに参加すると400円の参加料で466円のものを買う計算になります。
こういったゲームは適正な広告に当たるかどうかの議論もありますがこういった広告を目にしたら参加しないことが求められます。
期待値を実生活で利用する
ではこの期待値というものを、さらに実生活で利用するには、どうしたらよいでしょうか。
この期待値計算は、同じ事象が何度も繰り返されることを想定していますので、1度きりのことならばまた違う判断が求められます。
例えば設例1に1度しか参加できない、参加料が200万円という条件であったときはどうするべきでしょうか。
期待値としては同じようにプラスです。
筆者はこういった条件(常に期待値がプラスになると判断できる状況)では参加し続けてきました。
このゲームには1度しか参加できませんが、長い人生の中では同じような場面に遭遇することが多くあると思います。
たとえ最初の機会に失敗してしまっても次の機会には成功することができるかもしれません。
また何か悩んだ時には、起りうる事象を考えて予想リターンから、おおよその期待値を想定することで行動の指針になります。
もちろん完璧な行動予測ができとは限りませんが、だいたいどうなるかは予期できると思います。
また、行動の意義は経済的便益だけを求めることとは限りせん。
損失をあらかじめ予期しておくことで、精神的なゆとりを持つこともできます。
これらのことから、何か行動を起こす前には期待値を計算し、行動の指針とすることをおススメします。
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