クルマの歴史

蒸気自動車スタッフコラム

 車が好きなので、クルマに関連する歴史について、まとめてみました。

蒸気機関による自動車の誕生

 自動車といわれるものが、初めて誕生したのは1769年で、日本はまだ江戸時代後期、田沼意次による改革が始まろうとしていたころです。

 フランスで、軍事技術者ニコラ・ジョセフ・キュニョーにより、蒸気で走る自動車が発明されました。

 キュニョーは七年戦争に敗北したフランス陸軍から依頼され、ルイ15世から資金を得製作をします。

 これ以前にも自走車と呼ばれるものがありましたが、車両自体が現存しているということで世界初の自動車という評価を受けています。

 この初めての自動車は三輪で、当時定置式が前提でしたので50ℓという巨大なボイラーを利用して、シリンダー内のピストンを交互に動かし、車輪に直接伝えるものでした。

 軍隊で使われる大砲運搬のために造られた重くて大きな車体で、スピードは10km/h以下で水の消費が激しく、15分おきに給水しなければならず、1時間で4kmも走れない、今風に言うと燃費の悪すぎるクルマでした。

 日本初の自動車は、1904年に山羽虎夫が蒸気機関による自動車を製作したのが最初といわれていますが、それはまた次回以降ご紹介します。

図:キュニョーの砲車

 ちなみにこのクルマ、シャシーは木製、ホイールも木製でタイヤとして鉄製の輪が装着されていました。

 ステアリングは船のかじを流用しておりました。

 ほとんど方向を変えることができなかったようで、走行実験中にハンドルを切り損ねて壁に激突してしまいました。

 いわば世界初の交通事故を起こした自動車でもあります。   

 一方、1784年頃のスコットランドでは、ジェームズ・ワットの下で仕事をしていたウィリアム・マードックが、キュニョーのデザインも参考にして三輪蒸気自動車を製作しました。

 ここからはワットが定置式以外の蒸気機関を危険視したこと、蒸気機関ライセンスに神経を尖らせていたことから、蒸気機関の開発が禁止とされ、蒸気機関による自走車両の歴史は、1801年のリチャード・トレビシックの時代まで歴史が止まってしまいます。

世界初の交通機関デモンストレーション

 一時期ウィリアム・マードックが近所に住んでいたこともあり、その影響を大きく受けたトレビシックは人間が乗り込める蒸気自動車を公開します。

ト レビシックはこれをパフィング・デヴィル号 (Puffing Devil) と名付け、同年のクリスマス・イヴに数名を乗り込ませて走らせることに成功しました(溝に落ちてしまいますが)。

 これは蒸気機関による、世界初の交通機関のデモンストレーションとされています。

乗合バスの誕生

 パッフィング・デヴィル号を見た、ゴールズワージー・ガーニーは、1825年「普通の道や線路で、乗客と荷物を載せて、馬の助けなしに、十分な速度で前進する馬車」という特許を取得し、2年後には18人乗りの、乗り合い乗用車を製作しました。

 この時の車は、馬車と変わらぬ速度で走ることができたそうです。

 その4年後ウォルター・ハンコックは、1827年に取得した新型ボイラーの特許をもって、1829年に10人乗りの蒸気バスを製作しました。

 1833年になると、ロンドンで世界初の都市バスの営業がはじまり、ほかにも蒸気自動車に乗客を乗せて定期運行をする業者が現れます。

 19世紀中頃には、蒸気自動車は馬車に代わるものとして社会に受け入れられていました。

馬車業者との対立

 ワットが開発した蒸気機関は、どんどんと技術が向上していきます。

 徐々に馬車の牙城を崩していき、乗合いバスまで誕生することになりました。

 その結果、既得権を守ろうとする馬車業者などからの抵抗は大きく、イギリスで蒸気自動車を規制する“赤旗法”が制定されるなどの動きもありました。

 この法律により、イギリスは自動車産業の発展を妨げることになり、ドイツ・フランスの後塵を拝すことになります。

 赤旗法は、1865年にイギリスで制定された自動車の交通規制法令です。

 乗合バスまで発達したイギリスでは,蒸気バスに旅客をとられた馬車運送業者の議会への圧力や、ボイラーを焚くときに出る煙や騒音による、街道住民の反対運動によって制定された法で、〈自動車は郊外で時速6.4km/h以下、市街では時速3.2km/hの速度制限とし、しかも自動車が走る前方で赤旗を持った者が先導し,危険物の接近を知らせなければならない〉という、変な法律でした。

まとめ

 この時代にも自動車の人を起因とする事故があったそうです(火をつけたまま飲み屋に行き車が爆発など)。

 これからの時代は、自動運転が主流となると思いますが、最終的な判断を下すのは人です。

 人が運転する限りヒューマンエラーは付き物と考えて、日頃注意しながら運転してほしいです。

 そのうえで、自動車の安全装備の発達、さらには自動運転まで確立させて、極力自動車事故が起きない社会が到来することを願っています。

 次回は、電気、内燃機関の自動車についての話です。

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