職場で加入する社会保険

社会保険スタッフコラム

 職場で加入する社会保険(広義)には、労働保険と社会保険(狭義)とがあります。

 労働保険は労働保険(労働者災害補償保険)と雇用保険の2つ。

 通勤災害や業務災害など、労働災害のリスクに備えるのが労災保険、失業のリスクに備えるのが雇用保険です。

 社会保険(狭義)は健康保険、介護保険、厚生年金保険の3つ。

 これに加えて厚生年金保険に加入している人に扶養される配偶者が加入する国民年金(第3号被保険者)があり、傷病、介護、高齢・障害のリスクに備えます。

保険料の負担

 これらの社会保険には、職場(適用事業所)を通して加入します。

 保険料は被保険者負担分を給与から天引きし、事業主負担分と併せて事業主が納付します。

 ただし、労働保険は業務災害が発生したときの事業主の補償義務を肩代わりする性質の保険ですので、保険料は全額事業主が負担します。

 国民年金第3号被保険者は保険料を徴収されません。

 第3号被保険者分の保険料というものはなく、その分の財源は厚生年金保険制度全体の保険料や国庫負担により賄われています。

国民年金

 公的年金には、国民年金と厚生年金があります。

 国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられ、65歳以上の高齢、一定の障害、死亡の支給事由に該当すると基礎年金を受け取ることができます。

 国民年金の加入者には3種類あります。

 厚生年金保険の被保険者(65歳以上で老齢年金の受給権が発生している人を除く)である「第2号被保険者」、第2号被保険者の被扶養配偶者のうち20歳以上60歳未満の「第3号被保険者」、自営業者や無職の人など、20歳以上60歳未満で第2号被保険者にも第3号被保険者にも該当しない「第1号被保険者」の3つです。

厚生年金

 職場で加入するのは、厚生年金保険です。

 厚生年金保険の被保険者は65歳で老齢年金の受給権を得るまでは同時に第2号被保険者として国民年金にも加入しています。

 自営業者などの第1号被保険者の国民年金保険料は定額なのに対し、厚生年金保険の保険料は標準報酬月額に応じた額となっており、賞与にも保険料がかかります。

 しかし、被保険者と同額の保険料を事業主も負担し、給付も基礎年金(国民年金保険)に加えて報酬に応じた全額を受け取ることができます。 

業務中や通勤中の怪我や病気を補償する労災保険

 事業所が労災保険に加入していなかったとしても、業務災害により従業員が怪我や病気になったとしたら、会社(使用者)は従業員やその遺族に補償を行わなければなりません。

 これは労働基準法に災害補償義務が定められているからです。

 しかし、義務はあっても、使用者に支払い能力がない場合、その補償は完全に履行されないかもしれません。

 そのようなことがないよう、国は労働者を雇用する者に労災保険の加入を義務付け、保険料を徴収し、業務災害が起こった場合に、労災保険制度が事業主に代わって給付を行っているのです。

 通勤災害の場合は事業主には補償義務がありませんが、労災保険では業務災害とほぼ同様に給付されます。

労働者の雇用の安定を支える雇用保険

 雇用保険は、労働者の雇用の安定を支える制度です。失業した場合の生活費としての給付以外にも、就職の促進、労働者のスキルアップのための教育訓練費用への給付、60歳以上の賃金の減少や育児休業・介護休業取得の際の収入減を補填する給付(雇用継続給付)などがあります。

 労働者に対する給付だけでなく、事業主に対する給付も行われています。

 失業の予防や雇用機会の創出、労働者への教育訓練などを行った事業主への助成金です。

その他、職業紹介や職業訓練などの事業も行われています。

労働者を雇用していれば強制加入の労働保険

 労働保険は、労働者を一人でも雇用していれば、法人であっても個人事業であっても強制加入が原則です。

ただし、常時使用する労働者数が一定の人数に満たない農林水産業の個人経営の事業に限り、加入は任意となっています。

 同居親族以外の従業員がいない場合や役員しかいない法人は労働保険には加入できません。

 また、労働者を雇用していても、雇用保険の被保険者の要件を満たす人がいない場合は雇用保険の適用事業所にはならず、労災のみ加入することになります。

役員・従業員がいれば法人は強制加入の社会保険

 健康保険・厚生年金保険は、一人でも報酬・給与を支払われている役員・従業員がいれば法人の事業所はすべて強制加入となります。

 個人事業の場合は、法定16業種に該当する事業所は、常時5人以上の従業員を使用する場合は加入しなければなりません。

 16業種に該当しない事業には、農林水産業、旅館や飲食業などのサ-ビス業、士業などの法務業、宗教業があり、これらの業種の個人事業は労働者が何人であっても加入は任意となっています。

 社会保険の強制適用ではないサ-ビス業などの個人事業であっても、被保険者の要件を満たす労働者の半数以上が同意すれば、社会保険に任意加入することができます。

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