ユダヤの商法 世界経済を動かす

書評記事書評

日本マクドマクドナルドの創業者として有名な、藤田田氏が自身の経験談をベースに、ユダヤ商法のエッセンスを紹介しています。平成生まれの経営者にとっては、ソフトバンクグループ創業者での孫正義氏に影響を与えた人物としての方が有名かもしれません。

注意

1972年初版の書籍であり、藤田田氏のキャラクターもありますので、現在の社会通念上では、問題のある表現が非常に多くなっています。

そうした表現に不快感を覚える方は、避けていただいた方がよろしいかと思います。

耳の痛い部分

核心をついていて、私にとって耳の痛い部分がいくつかありました。

判断の基礎は外国語だ

英語を中心とした、外国語習得の有無が経営者の意思決定に与える影響について、実戦を重ねた経営者らしい、簡潔で説得力のある説明がなされています。

外国語習得と所得の相関関係は、統計調査でも明らかになっていますが、危機感をもって取り組まないとまずいと再認識させられます。

契約に対する姿勢

契約というものに対する姿勢の厳しさについては、日本国内だけで活動していると、どうしても甘くなってしまいます。

今後ますます海外の人・企業との取引が増えていく中で、契約というものに真剣に取り組む姿勢を、身につけていくことが、決定的に重要になるだろうと、改めて考えさせられました。

時間を盗むな

時間に対する認識の甘さも、日本国内で仕事をしているとマヒしてしまう部分でしょう。電車の運行やテレビ・ラジオなど、秒単位の正確さを要求する一方で、アポなし訪問や無駄な長話、無料サービスの強要など、相手の価値ある時間を奪うことに対する認識が希薄です。

この文化が、日本の生産性の異常な低さの一因だと思いますので、こうした書籍が改善の一助になってくれることを期待します。

週五日制で儲からない商売はやめてしまえ

この当時の文脈では、ユダヤ商法の厚利多売商法が原則で、薄利多売で儲からないことを忙しくしても意味がないということですが、社会環境の変わった現在でも、結論としては同じでしょう。

労働人口の減少などによって、低付加価値を長時間労働でごまかす事業は、そもそも成り立たなくなってきています。

長時間労働を続けなければ維持できない事業は、根本的に見直すことが必要だという事実に真剣に向き合るべきでしょう。

まとめ

90分もあれば読める本ですので、若い経営者は一度読んでみてはいかがでしょうか。

不適切な表現はスルーして、エッセンスを取り出して、現状を見直す材料にするとよいと思います。

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