本書はエッセンシャル思考という概念を提唱し、その実践方法を解説するものです。
エッセンシャル思考を一言でいうと「より少なく、しかしより良く」を追及する生き方のことである。
エッセンシャル思考を身につけるということは、別の言葉でいうと「選択する力」を手に入れるということです。
選択する力
PART1では、選択する力を失う、手放す原因から入って、選択する力を取り戻すための考え方の基本と、選択するためのハードルについて、説明しています。
企業経営者は、自ら選択することが習慣になっているため、選択する力を失っている自覚はないかもしれません。
しかし、このような本を読みながら、自分のこれまでの状況を客観的に見直してみると、選択する力を失っていた局面があることに気づきます。
エッセンシャル思考を身に着ける方法
PART2以降は、エッセンシャル思考を身に着けるための方法論になっていきますが、PART1の選択する力を使って、大多数の不要なものの中から少数の重要なものを選択していく方法と言い換えられるでしょう。
エッセンシャル思考を身に着ける方法論は、見極める技術(PART2、第5章~第9章)、捨てる技術(PART3、第10章~第14章)、しくみ化の技術(PART4、第15章~第20章)に区分されています。
それぞれの章の内容について、頭で理解していること、意識的に実践していること、習慣化していることがそれぞれあると思います。
このような本は、普段無意識で行っていることを、明確に言語化して整理してくれることに価値があると思っています。明確に言語化され整理されることで、抜け漏れを把握して、改善すべき部分を選択することが出来ます。
エッセンシャル思考を身に着けるためには、本書に限らず、読書を通じて自分の行動・思考を言語化し、整理することは、有用ではないかと思います。
見極める技術
PART2の見極める技術の中で、成功している企業経営者にとって、特に重要なのは「第8章睡眠」ではないかともいます。睡眠が不十分だと、他の方法に取り組む余裕がなくなります。
そして、企業経営者の存在意義であり、会社の命運を分ける経営上の意思決定の質は、体の疲労によって決定的な影響をうけますので、その意味でも最優先で取り組むべきだと思います。
洞察や選抜は、意識的にトレーニングを積まないと、簡単には身に着けられそうもありませんので、気長に取り組んでいくしかないでしょう。
捨てる技術
PART3の捨てる技術は、覚悟するだけで、出来る部分ですので、習慣化するまで続けていくしかないでしょう。第13章の編集は、意識的にトレーニングしないといけない高度な内容なので、習慣化するところまでもっていくには、かなり時間がかかりそうです。
しくみ化の技術
PART4のしくみ化の技術は、儲からない会社の経営者に欠けているものが全てそろっている感じで、驚きました。バッファ・削減・前進・集中を意識するだけで、相当改善する経営者が多い印象です。
但し方法自体はシンプルですが、実際に現場で実践するためには、PART2、PART3の技術が身についていないと難しいと思いますので、ここまでたどりつくには、少し時間がかかりそうです。
まとめ
一度通読してみてから、自分の課題を特定して改善するために使いやすい構成で便利な本だと思います。
意識せずに習慣化しているようなことは、自力で言語化して、整理区分するのは、なかなか難しいものですので、このような本を利用するのは有意義でしょう。
目次をチェックリストとして、定期的に自分の思考の傾向を確認するために使うのも良いかもしれません。
全体的にアドラーの思想がベースになっているように思いますので、「嫌われる勇気」等を読んでみると、より一層有効に使えるのではないかと思います。
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