THE TEAM ザ・チーム 五つの法則

書評記事書評

 一般に良いチームと思われているのに、有効に機能せず、成果を残せないことは良くあります。

 一般的には、チーム作りは、リーダーの属人的な能力で決まると思われていますが、実際には明確な法則があるというのが本書の内容です。

 本書は、自分にはチームを作り運営する能力が無いと考えている経営者の方に、能力の問題ではなく、「法則を知らない」だけだということを、気づかせてくれるかもしれません。

チームの法則

 経営者であれば、事業内容・成長段階・規模・地域性等の様々な要因が影響するので、これが良いチームなどと簡単に言えないことは、体感として持っていると思います。

 しかし、それでは自社の現状にとって、良いチームとはどういうものかについては、試行錯誤の中で、体得していくしかない部分で、多くは過去に所属したチームの影響を受けることが多かったと思います。

 本書では、自社の現状にとって、良いチームとはどういうものか、そこに向けて、どのように改善していくかを考える上で、ロジカルに無駄なく進めていくための「チームの法則」を紹介しています。

ABCDEの5つの法則

 本書は、5つのチームの法則の頭文字ABCDEをとって、それぞれ1章を割り当てています。

 ABCDEの法則の順番自体には、あまり意味はありません。しかし、相互には栄養を与えあうものではあるので、通読は必要かと思います。

 なにが良いチームかは、自社そのものと、自社を取り巻く様々な環境によって、変わっていくことになります。そこで、環境変化に合わせて、自社のチーム自体を変えていくことが出来なければ、成果を上げ続けることは出来なくなるでしょうし、実際そうした企業が、規模に関わらず多くなっています。

 一度、自社のチームについて、ABCDEの法則を検討し、チームを改善して、成果が上がったとしても、数年後には、また見直しが必要になるでしょう。

 その際に、改善すべき点をロジカルに分析して、改善点を特定できるABCDEの法則は、非常に使いやすく、便利だと思います。

Engagementの数値化について

 個人的に、エンゲージメントの数値化という考え方は、非常に興味をそそられました。

 技術的に可能かどうかはともかくとして、独立した第三者によって検証可能な形のデータになれば、資金調達の新しいインフラになる可能性もあります。

 M&Aの企業評価の一要素になったり、クラウドファンディングの信用情報の一つになったり、どのような展開があるか楽しみですので、注目していきたいと思います。

まとめ

 本書を通じて、チーム作りは属人的な職人芸ではなく、リーダーのパーソナリティの問題でもないと認識できると、経営者の悩みもすこし軽くなるかもしれません。

一方で、経営者のやるべきことが明確になるため、やらなければならないことが増えて忙しくなりそうです。

 また、チームの法則は、出来ればチームメンバー全員、少なくとも管理職全員が理解して、始めて成果につながるものですので、社内研修をするとよいと思います。

『THE TEAM 5つの法則』麻野耕司 | 幻冬舎
●偉大なチームに必要なのは「リーダー」ではなく『法則』だ「個」の重要性が叫ばれている今。そこからさらなる成長・脱却を遂げるためには、個と個をつなぐ「チームワーク」が重要だ。しかし、私たちは正しいチームづくりを教わったことがあっただろうか――。本書は経営コンサルタントとして数多くの組織変革に関わってきた著者が、Aim(目...

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