土地や建物を買った時の固定資産税相当額の経理処理方法

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 土地や建物を買って、最後に残金決済と引渡・登記手続を、銀行や不動産屋さんのオフィスでするかと思います。その際に、売買契約書の売買代金とは別に、様々な諸経費の精算があります。その中に「固定資産税相当額」という名目での支払が大抵の場合あるかと思います。

 この「固定資産税相当額」は、聞いた感じだと固定資産税のことのようですが、会計・税金上の取り扱いは固定資産税とは全く異なるのです。

 土地や建物の売買は、めったに出てこないものなので、結構なベテランの方でも勘違いしているケースが多いので、今回は詳細に説明したいと思います。

1.固定資産税相当額とは

 固定資産税は、土地や建物について、1月1日時点の所有者に、市町村から納付書が届きます。

 土地や建物を売買する場合、買主と売主のそれぞれの所有期間に応じて、この固定資産税の金額を精算し、売買代金とは別枠で、買主が売主に支払うことが一般的です。

 このお金のやり取りについて、「固定資産税相当額」という名前を使うため、固定資産税と同じ扱いになると勘違いしているケースがいまだに多いです。

 固定資産税の納税義務は、あくまでも1月1日時点の所有者にあるため、「固定資産税相当額」のお金のやり取りは、固定資産税そのものではなく、単に売買代金の精算の一部になります。

2.売主と買主の経理処理の仕訳

前提条件

  • 売主も買主も会社
  • 事務所に使っていた土地建物を売り、事務所として使うためにその土地建物を買った
  • 売買金額は、土地5000万円、建物3000万円
  • 固定資産税相当額は、土地部分20万円、建物部分10万円
  • 売主の簿価は、土地4000万円、建物3500万円

買主の仕訳(正しい仕訳)

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
土地50,200,000円現金及び預金80,300,000円
建物
30,100,000円

買主の仕訳(間違った仕訳)

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
土地50,000,000円現金及び預金80,300,000円
建物
30,000,000円
租税公課300,000円

売主の仕訳(正しい仕訳)

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
現金及び預金 80,300,000円土地40,000,000円
建物35,000,000円
固定資産売却益5,300,000円

売主の仕訳(間違った仕訳)

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
現金及び預金 80,300,000円土地40,000,000円
建物35,000,000円
租税公課300,000円
固定資産売却益5,000,000円

3.まとめ

 土地建物の売買は、不動産業以外では、めったにないものなので、経理のベテランの方でも間違いやすいものです。

 「固定資産税相当額」は、その名前の感じに騙されることなく、売買代金の一部と抑えておきましょう。

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