会社で不動産を賃貸している場合の売上を計算する方法

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 会社で賃貸用の不動産を買って、賃貸している場合には賃料収入は、会社の売上になります。

 この場合の売上は、どのように計算するのかについて、入金されたときに売上としているケースがあります。

 不動産の賃料収入による売上は、入金時点の売上ではなく、賃貸契約期間に応じて発生することになりますので、賃貸契約や管理会社との関係などによって様々なパターンに分かれてきます。

 今回は、それぞれのパターンについて、ご説明していきたいと思います。

1.自社で管理している場合

 自社で賃貸不動産を管理している場合には、振込先に指定した銀行口座に、賃借人から賃料が直接振り込まれるパターンと、収納代行会社に賃料の収納を依頼しているため、収納代行会社から賃料がまとめて振り込まれるパターンがあります。

 不動産の賃貸契約の場合、前家賃といって、〇月分の家賃を前月の末付近に支払うというパターンが一般的です。この場合、直接振り込まれる場合と、収納代行の場合で賃料を売上として処理する方法が変わってきます。

 具体的な数値例でご説明しましょう。

 前提条件

  • 2019年4月分の家賃は2019年3月25日までに支払うという賃貸契約の内容
  • 収納代行会社は、毎月25日に賃料を賃借人から自動引き落としした上で、翌月5日にオーナーに振り込む

 この場合、直接入金のパターンでは、3月25日に振り込まれた賃料は、4月分になりますので、3月25日の時点では、売上ではなく前受収益になります。その上で、4月になった時点で前受収益から売上に振り替えるという手順で経理処理することになります。

 3月25日の仕訳

借方勘定科目借方金額
貸方勘定科目貸方金額
現金及び預金50,000円前受収益50,000円

 4月1日の仕訳

借方勘定科目借方金額
貸方勘定科目貸方金額
前受収益50,000円売上50,000円

 一方、収納代行会社が入っているパターンでは、3月25日に収納代行会社が賃借人の口座から引き落としした賃料は、4月5日に手数料を引かれて入金されます。この場合、4月5日に入金された賃料は4月分になりますので、次のように経理処理します。

 4月5日の仕訳

借方勘定科目借方金額
貸方勘定科目貸方金額
現金及び預金50,000円売上49,850円
支払手数料150円

 なお、ここまでご説明した方法は、4月分の賃料が3月25日に期日通りに支払われたり、引き落とされたりした場合の数値例です。

 4月分の賃料が4月に入ってから入金になったり、5月になったりした場合もあります。

 その場合には、その入金が何月分のものなのかによっていつの売上にするのかを判断することになります。

2.賃貸管理会社が入っている場合

 次に賃貸管理会社が入っている場合に行きたいと思います。

 この場合には、賃貸管理会社がいったん賃料を賃借人から預かった上で、定期的にオーナーである会社に振り込んでくることになります。

 その際に、管理手数料や修繕費、水道光熱費など様々な経費を差引して振り込んでくることが一般的でしょう。

 このため、賃貸管理会社が入っている場合には、賃貸管理会社から入金の内訳を必ずもらって、会社に振り込まれた金額の内訳はいったい何なのかを確認しながら経理処理することが必要になります。

 具体的な数値例でご説明したいと思います。

  • 4月10日に賃貸管理会社から475,000円が会社の通帳に振り込まれた
  • 入金の内訳が記載されている管理報告書を賃貸管理会社からもらった
  • 管理報告書によると、475,000円の内訳は以下通り
  • 4月分家賃500,000円、遅れていた3月分家賃50,000円、新規入居の敷金100,000円、賃貸管理料27,500円、振込手数料500円、修繕費122,000円、水道光熱費25,000円

 4月10日の仕訳

借方勘定科目借方金額
貸方勘定科目貸方金額
現金及び預金475,000円売上500,000円
支払手数料 27,500円売掛金50,000円
支払手数料500円預り敷金100,000円
修繕費122,000円
水道光熱費25,000円

 ちなみに、3月分の賃料の未収分50,000円については、3月の時点で売上にし、4月10日の入金時点では、売掛金の入金として処理します。

3.まとめ

 不動産賃貸の賃料収入を、いつ売り上げにするかは、その賃料が何月分のものなのかを基準に判断することになります。

 不動産賃貸の場合は、様々なパターンで、その何月分の売上がいつ入金されるかが変わってきてしまいますので、入金時の売上にしてしまうと、本来の売上と大きく差が出てしまう可能性があります。

 不動産賃貸をする場合には、何月分の賃料が入金されているかどうかを消し込みすることが必要になりますので、エクセルなどで賃料収入の入金一覧表を作って管理するようにしましょう。

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