会社の車に取り付けるカーナビやパーツは、車の取得原価に含めるのが原則ですが、タイミングによっては資本的支出として取り扱う可能性があります。
資本的支出として取り扱う場合には、その金額によっては、一括で経費にできるケースもあります。
社用車を購入する場合には、必ずと言っていいほど、カーナビやパーツの取り付けも必要になるかと思いますので、判断方法を覚えておきましょう。
1.取得原価か資本的支出
会社の車にカーナビやパーツなどを取り付ける場合には、その取り付けのタイミングによって、経理処理が変わってきます。
車の購入時に、カーナビやパーツなどを取り付けて、車を使い始める場合には、車の取得原価に含めて、合計額で減価償却していきます。(耐用年数基本通達2-5-1)
一方で、既に使っている車に、カーナビやパーツを取り付けた場合には、その取り付けの時に、車に追加した、車の価値を上げるもの(資本的支出といいます)として、車の一部として減価償却していくことになります。
2.取得原価と資本的支出のケースを数値で比較
前提条件
- 車の本体価格は300万円
- カーナビの金額は20万円
- 会社は12月決算の中小企業
- 車の購入日は1月
- 車の耐用年数は6年(償却率0.333)
- カーナビ後付けのケースでは、7月に後付け(6か月分償却)
車購入時にカーナビを取り付けた場合
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
車両運搬具 | 3,200,000円 | 現金及び預金 | 3,200,000円 |
減価償却費 | 1,065,600円 | 車両運搬具 | 1,065,600円 |
車を使い始めたあとでカーナビを取り付けた場合
車本体分
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
車両運搬具 | 3,000,000円 | 現金及び預金 | 3,0000,000円 |
減価償却費 | 999,000円 | 車両運搬具 | 999,000円 |
カーナビ分
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
車両運搬具 | 200,000円 | 現金及び預金 | 200,000円 |
減価償却費 | 33,300円 | 車両運搬具 | 33,300円 |
- 200,000×0.333×6/12=33,300(6か月分を月割り計算)
本体分との経費合計=999,000円+33,300円=1,032,300円<1,065,600円
上記のように、車の購入時にカーナビを取り付けた場合よりも、購入した年の経費は減ります。
(参考)カーナビが20万円未満だった場合
法人税基本通達7-8-3というルールで、資本的支出が20万円未満の場合には、一括で経費にできると定められていますので、カーナビが20万円未満(例えば18万円)だった場合には、一括で経費になります。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
修繕費 | 180,000円 | 現金及び預金 | 180,000円 |
この場合には、車を使い始めてから取り付けた方が、購入した年の経費は増えることになります。
3.まとめと注意点
- 車にカーナビやパーツなどを取り付ける場合には、購入時に取り付ける場合と車を使い始めてから取り付ける場合で経理処理がかわってくる。
- カーナビやパーツなどは、車の購入時に取り付けた方が、購入した年の経費は増える。
- カーナビやパーツなどが、20万円未満の場合には、車を使い始めてから取り付けた方が、購入した年の経費は増える。
- ただし、購入した年の経費を増やすことだけを目的に、本来購入時に取り付けるべきものを、車を使い始めてから取り付けたとみなされた場合には、当初の取得原価に含めるよう処分される可能性がありますので、合理的な理由を説明できる準備をしておきましょう。
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