会社で設備投資をする場合に、自己資金だけでは足りないことや、自己資金で払ってしまうと手許の資金がギリギリになって、余裕がなくなってしまうことがあります。
そのような場合には、金融機関から借入をすることになります。
民間の銀行からの借入も、地方公共団体の制度融資を使うことで、低金利になるメリットはありますが、信用保証協会の保証料も含めると、実質金利はそれほど低くなかったり、手続きが非常に煩雑で時間がかかるといったデメリットもあります。
このため、中小企業で数百万単位の小口の借入を始めてする場合には、日本政策金融公庫からの借入がお勧めです。
今回は、日本政策金融公庫からスムーズに借入する方法についてご説明したいと思います。
1.日本政策金融公庫からの借入のメリット
日本政策金融公庫からの借入の最大のメリットは、審査がとても早いということでしょう。
民間の金融機関からの借入の場合は、プロパー融資でない限り、実質的な審査は信用保証協会で行われることになりますので、どうしても審査にかかる時間が長くなってしまいます。
一方、日本政策金融公庫からの借入は、信用保証協会が関係しませんので、審査に係る時間は短くなります。また、信用保証協会を使いませんので、金利と別枠での支払いとなる保証料が必要ないため、見た目の金利よりも、実質的に低金利になります。
民間の金融機関からプロパー融資を受けられるところまで行っていない、財務内容の会社にとって、日本政策金融公庫のメリットは大きいといえます。
2.日本政策金融公庫に借入を申し込む際の注意点
日本政策金融公庫に借入を申し込む際には、直接公庫の窓口に申し込みに行くのは、あまりお勧めできません。
顧問税理士や日本政策金融公庫から借入をしている知り合いなどに、事前に担当者を紹介してもらった上で、申し込みにいくと、対応が全く変わってきます。
日本政策金融公庫は、信用力の低い中小零細事業者に、リスクマネーを供給する日本国内では唯一といってよい金融機関ですので、貸し倒れの割合もとても高いのです。そのため、飛び込みで窓口に申し込みに行くと、あまり気持ちの良くない扱いを受けてしまう可能性もありますし、その後の審査もスムーズにいかない恐れもあります。
3.日本政策金融公庫から借入が出来ないケース
日本政策金融公庫の借入の審査は、単純に過去の決算数字での判断ではなく、経営者の信頼性などの定性的な部分を見てもらえるため、民間の金融機関と信用保証協会の審査と比べると通りやすい印象があります。
過去に日本政策金融公庫に紹介したお客様で、融資を断られたケースはほとんどありませんので、特別な対策のようなものは必要ないでしょう。
ただし、許認可が必要な事業でその許認可を取っていない場合には、許認可を正式に取得するまでは、借入は出来ません。
また、経営者の信頼性を重視するため、過去に返済遅延や貸し倒れなどを起こしてしまっていると、借入はとても困難になります。
数十年前に、2回返済遅延を起こしてしまったことのある社長が借入の申し込みをした際には、通常は1~2週間で借入出来るものが、数か月かかったケースもあります。
4.まとめ
日本政策金融公庫からの借入は、まだ信用力の低い企業にとっては、とても使いやすくて便利ですのでお勧めです。
審査も財務内容だけではなく、経営者の信頼性や事業計画なども見てもらえるため、中小企業にとって有利です。
飛び込みで申し込みに行くと、スムーズに進まない可能性があるので、事前に紹介してもらってから、申し込みに行きましょう。
一方で、許認可や過去の事故歴など、民間の金融機関以上に、シビアに見られる部分もありますので、注意が必要です。
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