役員報酬を年度の途中で変更する条件と変更の方法

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 役員報酬(役員の給与)は、年度の途中で変更できないのが原則です。これを定期同額給与といいます。

 しかし、絶対に変更できないわけではありません。

 そこで、今回は、役員報酬を年度の途中で変更することができる条件と変更の方法について、説明したいと思います。

1.定期同額給与のルール

 定期同額給与とは、法人税法第34条第1項において、その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与で、当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものとされています。

 つまり、月給か月数回払いの給与で、1年間金額が変わらないものということです。

 このため、2か月に1回の支払いの役員報酬であれば、定期同額給与には該当しないため、そのままでは、会社の経費になりません。このような場合には、事前確定届出給与の届出の手続きを使って、支払日と金額を1年分事前に税務署に届け出ておくことが必要になります。

 また、1年間の途中で金額を変更した場合には、定期同額給与ではなくなってしまい、会社の経費にはなりません。

 一度決めた定期同額給与の金額は、新年度の開始日から3か月以内に、株主総会や取締役会の決議によって変更することになります。このため、1年後の次の株主総会や取締役会までは、役員報酬の金額を変更することは原則としてできません。

2.定期同額給与を年度途中増で額する条件と手続

 定期同額給与を年度途中で増額することは、原則としてできませんが、唯一増額できるのは、 役員の職制上の地位の変更、その役員の職務 の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情があったときだけです。

 具体的には、平取締役が年度途中で社長になった場合や、大阪店店長兼務取締役が、本社営業本部長兼常務取締役の急死に伴って、本社営業本部長兼常務取締役に昇格したなどといった場合、臨時株主総会や取締役会の決議で、その役員の役員報酬を年度途中で増額することができます。

 定期同額給与の年度途中での増額は、税金を減らす方向に利益を動かすことになるため、その実態を厳密に調査されることになります。

 増額の事情を、合理的に説明できるように、証拠資料を十分に用意しておきましょう。

 なお、会社の業績好調や利益が出すぎたなどの事情は、止むを得ない事情には該当しませんので、増額は非常にハードルが高いといえます。

3.定期同額給与を年度途中で減額する条件と手続

 定期同額給与を年度途中で減額することも、原則としてできませんが、増額の場合と同様に、役員の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務 の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(臨時改定事由)がある場合には減額することができます。

 また、減額の場合には、税金を減らす方向の話ではないため、若干条件が緩和されており、経営の状況が著しく悪化したことその他これ に類する理由(業績悪化改定事由)の場合にも減額することができます。

 定期同額給与を年度途中で減額する場合には、臨時株主総会または取締役会の決議で変更します。この際、減額の理由が業績悪化改定自由の場合には、議事録に、定期同額給与を減額しなければ、会社の経営上どれほどの困難があるかを明確にしておくとよいでしょう。

4.まとめ

 役員報酬は、利益操作に利用される可能性が高いことから、定期同額給与という厳しいルールが定められています。

 しかし、年度途中で、絶対に変更できないというものではなく、変更せざるを得ない理由がある場合には、変更できます。

 税金を減らす方向になる、定期同額給与の増額は、相当厳しい条件になりますが、税金を減らさない方向の定期同額給与の減額は、業績の著しい悪化の場合も可能になっており、条件が緩和されています。

 業績が悪化した場合には、役員個人の所得税等の負担や、会社の社会保険料負担など、役員報酬を減額することで、経営状況に良い影響を及ぼすケースも多いので、絶対変更できないと思わずに、減額できないか検討してみてください。

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